ナツメ(棗)について

ナツメは諸説あるそうですが、元々南ヨーロッパおよびアジア西南部が原産で、中国を経て日本には奈良時代以前に伝わったと言われていて、聖徳太子が過ごしたという説もある飛鳥時代の上之宮遺跡(奈良県)からナツメの種子が出土されていたり、万葉集の歌の中にもその名が認められているそうです。

中国では、桃と栗(3年)、杏(4年)、梨(5年)、そしてナツメを5果と呼び重要な果物とされてきて、特にナツメは1年で毎年実り、金になることから縁起の良い食べ物とされるだけでなく、三大美女として名高いあの楊貴妃も、好んで毎日欠かさず食していたと言われているように、実際「一日食三棗、終生不顕老」、1日3粒のナツメを食べると、年齢が気にならない、つまり老いを気にしないと言われるほどに、豊富な栄養素を含み、3000年以上も前から健康に効果のある食べ物として人々に親しまれてきたものなのです。

ナツメはクロウメモドキ科の落葉高木で、夏に黄緑の花を咲かせ暗めの赤色をした楕円形の実を付けます。この実の部分が一般的にナツメと呼ばれ、漢字では「棗」と書きます。また、初夏になって葉っぱから芽を出すことから、「夏芽=ナツメ」と呼ばれ始めたことが、名前の由来だそうです。

とくに有名なものに“大棗”という乾燥させた干しナツメがあり、生薬や薬膳に、中国や韓国では実際に料理にも使用されています。“大棗”は、滋養・補欠などに効果があるとして葛根湯に含まれる成分の一つでもあるそうですね。

ナツメの主要な成分

  • 【食物繊維】

以前のブログにも書いたことがあるように(2021年9月10日「便秘と食物繊維について」)食物繊維は、腸内環境を整えて消化吸収を良くしたり、便通を改善する効果があります。

干しナツメに含まれる食物繊維は、100gあたりおよそ12.5g。食物繊維が多く含まれるものとして代表的なごぼうでも、100gあたりおよそ5.7gなので、ナツメのその含有量はなんとゴボウのおよそ2倍以上です。ちなみに、もみ殻に含まれる食物繊維は100gあたりおよそ80gもあるんですよ!

  • 【鉄分】

女性が特になりやすい貧血に効果があるとされるミネラルのひとつです。体内にあるおよそ6~7割の鉄分が赤血球に含まれるヘモグロビンというたんぱく質を構成していますが、鉄分が不足することでヘモグロビンが十分に合成できず、酸素の運搬量が不足することでなくなってしまい、貧血を起こすことに繋がります。

干しナツメに含まれる鉄分は、100gあたりおよそ1.5g。例えば、鉄分が多く含まれるものとして有名な乾燥プルーンでも、100gあたり1.0gなので、ナツメのその含有量は乾燥プルーンのおよそ1.5倍になります。

  • 【パントテン酸】

水溶性ビタミンで、ビタミンB群のひとつです。食事から摂った炭水化物などの栄養素の代謝を促し、エネルギー産生を助ける働きがあります。

その他にも脂質の代謝を促すHDL(善玉)コレステロールの増加、副腎皮質ホルモンの合成による抗ストレス作用、免疫抗体の合成と様々な重要な働きがあります。

  • 【葉酸】

パントテン酸同様、水溶性ビタミンでビタミンB群のひとつです。ビタミンB12とともに赤血球を作ったり、DNAやRNAなどの核酸やタンパク質の生合成を促進して細胞の生産や再生を助けることから、体の発育にも重要なビタミンです。そのため胎児の発達の点から特に重要とされていて、妊娠初期に葉酸不足になると胎児の神経管が上手く発達せず、神経管閉鎖不全という状態になることで、奇形や障害を持ったり、最悪の場合死に至ることもあるそうです。

  • 【サポニン】

植物の根、葉、茎などに含まれていて、特にマメ科の植物に多く含まれています。その効果は植物によって異なるようですが、例えば大豆に含まれるサポニンには抗酸化作用があるため、活性酸素を除去し、脂肪の酸化を防いでくれます。ナツメに含まれるジジフスサポニンは、免疫機能を向上させてウイルスや菌から身体を守る働きをします。

  • 【カルシウム】

人体に最も多く含まれるミネラル(体重の1~2%を占める)で、そのほとんどはリンとミネラルと結合して骨や歯を形成しています。また血液や筋肉、神経内にもあって、骨量の維持や体のさまざまな機能を調整する働きもあり、人体にとって必要不可欠な栄養素です。カルシウムが不足すると骨粗しょう症をはじめとした様々な病気の原因になる可能性があります。

特に女性に嬉しい美容効果もある、ナツメは「大地のおくりもの」にも厳選配合しています!